怪奇まんま小僧

あれは金曜の夜中、私は翌日の朝食用にパンを焼いていた。
一次発酵あたりでモショモショいう声が聞こえたかと思うと、台所の明かりに照らされて、居るはずのない者が居間の暗がりに座っていた。怪奇まんま小僧だ。
それは、なんか上機嫌でその辺をウホウホ徘徊したかと思うと、いつものハイローチェアによじ登り、台所に居る私へ向かってチェアをガシガシいわせながらツイストを踊っていた。夕食の催促に彼が良く取る行動なのだが、何故この夜中に…。確かにパンは彼の大好物なのだが。
作業できないから寝てくれよ、と寝かしつけようとしても全然ダメ。
その日は夫の人の帰宅が午前様で、しかもパンの製造は途中で作業をやめられるものでもなく、一人では手が足りずにんともかんともと困ってる内に何とか焼きあがりまでたどり着くと、そいつがマンママンマの大合唱(お涙つき)。君、6時間位時間を間違えてないか?と思う位。
とりあえずパンはまずかろうという事で、その場はミルクでごまかした。
しかし、怪奇まんま小僧は熟睡していても、パンならば発酵段階でも嗅ぎ付けるのか…と戦慄した出来事だった。
まぁ単に誰もそばにいないから起きたらなんか作ってるのを発見!って線もあるけどさ。