表へ出ろⅢ〜ピコ氏の鼓動は148/分〜(その四)

手術台に上がってからはもうまな板の上の鯉(子持ち)でしたよ。
散々騒いだせいか(その三参照)まるで歯医者における幼稚園児のような扱いを受けた麻酔も拍子抜けする位すんなり終え、がっつり効いてきて一安心、腹に消毒薬を塗られたり両腕にモニターだの点滴だの打たれたりして、腹と顔の間に垂れ幕が張られてスタッフの人が集合したところで手術開始前に一同挨拶。
「よろしくお願いします」
・・・・・・患者は一緒に挨拶するべきだったろうか、とちょっと考えたけどまぁ聞かなかった事にしておいて貰おう。気合のあらわれって事でひとつ。
・・・なんて余裕こいて書いてるけど、ここまでの手術は人生初なのでビビリまくっていました。
だって風船羊羹みたいな腹切って赤子を出すんですよ!どうやるのか考えただけで思考停止状態ですよ。
これは流石にまずかろう、と思ったんで(以下当時の脳内の模様)
『ここで何か別の事でも考えて気を紛らわせよう、あーそうだ昨日見たセイザーX劇場版の感想をちょっと書き足すとか〜響鬼さんの感想とか〜・・・ってなんでここで斬鬼さんのケツが真っ先に思い浮かぶんだよ!ここで「ぶっ」とか笑って腹がアレな事になったら大変だよ!つか不気味だよ!やっぱ考えるのやめやめ!』
・・・・・・という経緯があったせいかどうかは知らねど、血圧は頻繁に160余裕越えのブザーが鳴りっぱなしな上に過呼吸で指がしびれてきまして。看護士さんに
「ゆーーっくり息を吸って吐いて〜」と手を握られながらなだめられてました。トホホ。
そんなこんなで手術開始からややあってなにやら「プギョ」という鳴き声が。
『おっとこいつは?!』と思っていたところ(手術のライト除け(と多分動揺防止)に目にタオルが掛けられていたのだった)ややあってでっかい産声が。ピコ氏誕生であります。
『あー良かった良かった』とホッとしたのもつかの間、ピコ氏体重等を計測していたらしき看護士さんの声が。
「あーおしっこ引っ掛けられちゃったー」・・・・・・それはピコ氏にですか?それ以外居ないでしょうね・・・・・・orz*1
で、私ピコ氏が無事娑婆に出てきた暁には何と声を掛けようかなーと考えてたんですよ。ここは「こんにちは!」とか「おつかれ!」とかかなぁ、なんて。しかしですね、その『おしっこ引っ掛けられちゃった』というのがどうにもインパクト有り過ぎでしてね、後テンパってるんで
『自分の子が他人様に粗相をしてるのに一言ないというのもどうか』とかいらん事を考えちゃって、ピコ氏とご対面、のときについ言ってしまった訳ですよ。
「引っ掛けちゃってすいません」と。看護士さんに。
看護士さん話が飲み込めなくて「はい?」とか言ってましたよトホホホ。


で、ピコ氏を出してしまえば後はどうでもいいや、と思ってたんですが、後始末が結構長い長い。
ピコ氏が出てくるのに正味15分位、後始末が30分〜40分位掛かった印象。
なーんか胃が気持ち悪いんで、その旨訴えたら「あー胃の位置動かしたから気持ち悪く感じるかもー」というのを聞いて余計気分が悪くなったりとか、気が抜けて居眠りしたら容態がアレしたと思われたのか、必死な声で起こされたりとかしてて、ようやく手術終了ですよ。とそこへ主治医が。お礼を言うと、
医「あー、後ね、開いたら筋腫の赤ちゃんも見つかったから。五個。」
私「筋腫ですか?五個も?それってまずいんですか?」
医「まだ赤ちゃんなんで様子見で大丈夫だよ〜」
・・・・・・って良く考えたら手術直後に言わなくても良いと思うんですが。しかも出産後に。筋腫の“赤ちゃん”ってそれひょっとしてギャグで言ってるんですか。それが主治医クオリティ。としか言い様が。


とまぁ良いオチがついた所で、一応産前編一区切りであります。お付き合い頂いてありがとうございました。後入院のときの覚書とかはおいおい書いていく予定です。

*1:なんか夫の人も誕生時にやらかしたらしい。遺伝なのだろうか?